なぜ日本人が好きなのか

 中国のネットに『日本に来てから分かった事』という文章が流れていた。「水道水はそのまま飲める」や「知らない人とも挨拶する」、「ゴミを捨てる時間は決まっている」等、良い事も悪い事も細かくまとめていた。そもそも筆者が日本を好きになった理由と言うと、たぶん下記の8つだと思う。


<span class="deco" style="font-weight:bold;">1、几帳面さ</span>
 上海にいる日本人の知合いに印鑑作りを頼まれた事があり、出来た時に、印鑑を試してから、前後を区別するために必ず印鑑に貼紙を貼り付けておいた。使う前に印面を見ると分かるので、最初は貼らなくてもよいと思っていたが、日々が経つごとに、段々その小さな貼紙の働きが実感してきた。
 時間をちゃんと守ることも日本人の几帳面さをよく表している。
 信号待ちのエンジン停止を実施しているが、バスが案外時刻通りにバス停に入ってくることには驚いた。
 日本人の方々の目から見ると、時間を守るのは当然の事だが、中国では守れる人が少なくて、いつも待つ方がイライラとする。
 筆者は以前、大学でクラス委員をしていた。よく学部の会議等に呼ばれたが、いつも約束の時間になっても始まらなかった。30分間以上経つと、参加者がやっと登場してきてくれた。
 結婚式でも同じだが、招待状に書かれた時間になっても、お客さんはまだ半分くらい来ないのは現状である。筆者の親友の場合、結婚招待状にはわざと予定時刻より30分程度早く書いておいたが、結局それでも遅刻する人が何人かいた。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">2、ちゃんと挨拶をする</span>
 日本では毎日出掛けると知らない人でも「おはようございます」か「こんにちは」と挨拶をする。「こんにちは」と話し掛けると、「こんにちは」と返って来る時、知らん振りするよりは気持ちよい。
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<span class="deco" style="font-weight:bold;">3、環境を大切にする</span>
 筆者は田舎出身なので、上海は田舎ほど空気が綺麗ではなかったが、6年前に北京から帰ってきた時は安心した。しかし、最近、空気がたいぶ汚くなり、とうとう3年前から筆者は埃アレルギーになった。毎朝起きるとクシャミが止まらなくなったり、2、3日おきに蕁麻疹が出たりした。体調を調整しようと長期間漢方薬を飲んでいたが、全然効果がなかった。ところが、日本に来て一ヶ月間、一回も蕁麻疹にかかった事がない。
 ゴミの分別はもちろん大変だろうし、出掛ける時に子供が使ったオムツまでカバンの中に入れて家まで持ち帰るのも不便だし、環境を綺麗にするには、こういった努力は当たり前だ。
 実は昔、日本人友達の発言にムキになったことがある。「日本の車の排気ガスは上海の空気より綺麗だよ」と。「それはないでしょう。わざとそこまで言わなくもよいでしょう。ったく」と返してやった。
しかし、5年前初めて日本に来た時に目が覚めた。ぼやりと京都でバスを待っていて、車が目の前に走りすぎた1分間後、「先ほど、車通り過ぎたが、全然匂いしなかった」とびっくりした。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">4、親切</span>
 また京都での出来事だった。バス停のベンチに座っている叔父さんも知恩院で働いている叔母さんもそうだが、道を尋ねたら、京都にいる間にどうやって色々な所を回れば良いか、など凄く親切に教えてくださった。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">5、食べ物を粗末にしない</span>
 日本料理は量が少ないね、とよく言われるが、食べてみてそれは合理的だと思っている。
 中国では、昔、食料が足りないので、お客さんを招待する時には、わざと必要以上の料理を出し、お客さんもご主人の思い遣りに対し、わざと食べ残すという風習があった。
だが、そもそもおなかが空く感じもなくなった今、ご飯や料理をたくさん作る必要がないではと思っている。例え、物質が乏しい地域でも、冷蔵庫がないのに、必要以上の量を作っておくと、食べ残した分は恐らく腐ってしまうだろう。結局、無駄遣いになるだけではないか。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">6、交通ルール</span>
 同じく、京都でのことだった。信号が青になったが、左折しようとする車があったので、待っていた。その一方、車もずっと止まっていて、変な運転手さんだなあと思いながら、しばらく経ってようやく「ここは日本だ」と思い出して、申し訳ないと思って走って渡った。
今お世話になっている中国人友達は車を持っている。車で出掛ける際、まれに相手の車と優先順位を決めなくてはならない時があり、中国みたいに気を張って争うではなく、手を振って相手と合図を交わしている。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">7、思い遣り</span>
 初めて勤めた会社で、大型バス・シャシーの設計というプロジェクトがあり、そこの通訳をさせて頂いた。日本人のベテラン設計者はよく中国の社員に「思い遣りが足りない」と指摘した。というと、寸法等が正しくても、数値を何処かに書くことによって見る相手を惑わすことがあるなど。
 名刺交換のマナー、「相手に向けて出すこと」から他人への思い遣りがたっぷり溢れる。
また、エレベータにも新幹線のお手洗いにも缶チューハイにも点字が付いていることに感心した。中国にいる友達等にそれをアピールするために、初めて来る時には点字の写真をたくさん撮っていた。
その一方、上海の地下鉄駅では思い遣りが足りないところは多い。たいていの駅にはホームへ下るエスカレータがついているが、改札口まで上るエスカレータがなく、荷物が多い時には本当に不便。エレベータは一応あるが、身障者専用で、駅の係員に連絡してから使えるようになる、という仕組みだ。身障者には連絡する余裕があるか、いつも疑問を持っている。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">8、サービス</span>
 5年前日本人の友達が彼の近所夫婦を上海まで招いていた事がある。「魯さん、このレストラン、なんか態度悪いねえ」と言われた。「態度に関しては気になると思ったから、ここにしたのよ。ここは他の店よりましなんだよ」と返事をした。
 「なぜレジでお釣り投げて返すの」としょっちゅう苦情が来るが、実は筆者本人も納得できない。日本みたいに札は札で、コインはコインで返してくれるなら、確認が楽になり、お互いの時間節約になるではと思っているが。
 よくよく考えてみると、たぶん一目惚れで日本のことが好きになったのだろう。前回も述べたが、日本は100%パーフェクトでもないが、こういった所を学びたいと思っている。
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