改めて「専守防衛」の徹底議論を 映画『オッペン』が示す米国第一主義

Hayakawa Onlineから

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 「裏金事件」をめぐる混迷と待ったなしの政治改革、金融政策の転換と円安対策など難題が山積している中、訪米した岸田首相は4月10日の日米首脳会談で、バイデン大統領に日本の敵基地攻撃能力(反撃能力)保有や防衛予算の拡大、戦闘機の第3国輸出解禁などを説明、両首脳は日米両軍の「指揮統制の連携強化」で一致した。

 「中国包囲網」構築を急ぐバイデン大統領はもろ手を挙げて歓迎したが、世界最強とされる米軍との連携強化は自衛隊が“下請け”になりかねない。安倍晋三政権(2012/12~20/9)から顕著になった外交・安保政策の“軍事偏重”は、岸田政権下で一段と加速している。

 筆者は「日本の安全は日本国憲法日米安全保障条約が基本」であり、戦後の国是「平和外交」と「専守防衛」の下、国力に見合った防衛力整備と多角的同盟関係の構築は不可欠と考える。

 世界の現状は、ロシアのウクライナへ侵略やイスラエルガザ地区破壊攻撃など緊張が続き、軍事力強化論に勢いがある。だが人口減少・国力低下傾向にある日本では、持続的な軍備増強は難しい。政治・外交力を高め、国民の暮らしを豊かにすることが重要だ。改めて「専守防衛国家・日本」について、国会での徹底的な議論を求めたい。

●岸田首相は大風呂敷を広げたが
 岸田首相は翌日、米連邦議会の上下両院合同会議で演説し、「日米両国は世界の平和と繁栄に責任を担っており、日本は堅固な同盟と不朽の友好を誓う」と表明した。「国賓待遇」で招待され高揚感に包まれたことが、“米国一辺倒”発言につながったと思われる。

 過去にも訪米した首相の問題発言があった。1983年1月、就任直後の中曽根康弘首相はレーガン大統領に対して「日米両国は太平洋を挟む運命共同体」と発言。米紙との朝食会では「日本列島は不沈空母」と語り、国会で「専守防衛から逸脱した発言だ」と責められた。

 今回の首脳会談でも「日米同盟は前例のない高みに到達した」と歌い上げたが、国民の多くは不安を感じたのではないか。

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