デジタルライフライン全国総合整備計画 21世紀の列島改造が始まった(1)

なぜ大手メディアは取り上げないのか

 「デジタルライフライン全国総合整備計画」(デジタル全総)をご存知だろうか。

 ネットで検索すると、旗振り役の経済産業省やデジタル庁、内閣府などが作成した資料を除くと、真正面から取り上げた記事や論説はほとんど出てこない。

 なぜ大手メディアや経済誌が取り上げていないのか。

 具体的な形が見えない、とにかくIT/デジタルは取っ付きにくい、他の事案(パー券裏金や政治資金、紅麹、自動車型式申請不正、大谷Syo-Time、東京都知事選等々)のほうが面白い等々、あれこれの理由、原因があるのだろう。しかしそれを探っても詮ないことだし、本稿の目的とするところではない。

 デジタル全総については、まず図1を説明するのがいいだろう。

 ここでいう「先行地域」とは、この種の施策にありがちな「実証実験」とは意味が違う。実証実験は期間付きで、期限がくるとシステムや施設が解体されることがある。それに対してデジタル全総の「先行地域」は近い将来、全国に展開することを前提としている。

図1 デジタル全国総合整備計画 先行地域マップ

 プロジェクトの中身を見ると、「自動運転サービス支援道」が3件(日立市東北自動車道、新東名高速道路)、「インフラ管理DX」が2件(さいたま市、八王子市)、「ドローン航路」(秩父地域、浜松市)となっている。それぞれの事業内容についてはメディア報道や行政情報を参照されたい。

 なお、この図には記載されていないが、6月冒頭の閣議決定で奥能登地震復興支援策の一環として、「インフラ管理DX」「ドローン航路」の実施が追加されている(図2)。発災から丸半年、遅々として進まない復興にデジタル技術がどう役立つか、将来を見据えた実験場でもある。

図2 奥能登地震復興のためのデジタル技術の活用

▶️日立市:自動運転サービス支援道

ligare.news

▶️秩父市:ドローン航路

www.city.chichibu.lg.jp

▶️浜松市:ドローン航路

www.city.hamamatsu.shizuoka.jp

▶️自動運転サービス支援道

txbiz.tv-tokyo.co.jp