デジタルに変身するより「上手の真似をする」が肝要

「経済記者シニアの会」ホームページのトップ(URLは下記)

記者仲間のお付き合いで、4月から「経済記者シニアの会」という集まりにブログ要員として参加しました。といって書けるネタはIT/DX/デジタル周りに限られるのですが。5月16日付で掲載されたコラムです。掲載から1か月超が経過しているので、アクセスを増やすため、という目的から転載することにしました。

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 自ら「経済記者」を名乗るのはおこがましい、というのが正直なところです。なるほど通商産業省の当時から現・経済産業省に出入りしていましたが、勤めていたのがコンピュータ、情報産業、ITの専門紙(業界紙)で、当時は記事ネタをゲットすることに汲々としていました。気がつけばフリーランスとしての時間のほうが、会社勤めより長くなっています。

 ここ数年、IT周りでは「DX」「デジタル」の喧騒が続いています。上場企業向けの「DX銘柄」、デジタルガバナンス・コード、DX認定制度、デジタル人材育成プラットフォームetc。「バスに乗り遅れるな」と総務省農水省国交省文科省なども駆け出し、加えて菅政権下でスタートしたデジタル庁、現政権のデジタル田園都市構想と話題は尽きません。

 古い技術の積み上げで成り立っている現行の ITシステムをデータドリブン型に変えないと、“デジタルの渦”に飲み込まれてしまう――『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)は、たしかに「ユニークな考察」でした。経済政策の指針というより、ITに軸足を置いた経営・業務改革の解説書、指南書として受け止めた向きも少なくなかったと思います。

 紙とハンコだっていいじゃんか、我が社にデジタル人材なんていないしなぁ……等々は全くその通りです。紙とハンコを止めてもDXにはなりません。ですがDXの“最初の一歩”ですし、デジタル人材なんてどこにもいやしないので、自分でできることからやっていくしかありません。

 全国420万超の企業・事業者のすべてが「デジタル企業」に変身できるはずはありません。我が社はアナログで行く、という選択ももちろん「アリ」です。新型コロナ騒動で需要が高まった非接触型のネットデリバリ・サービスの一方、店頭で店員とお客さんが会話を交わしながらのアナログ型テイクアウトも定着しています。

 『DXレポート』関係者がDX/デジタルの必要性を強調するのは立場上のこと、本音を探るとデジタルが是、アナログは否というわけではないようです。ただ間違いなく言えるのは、GAFAGoogleAmazonfacebookApple)に代表されるデジタル・プラットフォーマーが旧来の経済世界をアップデートし、デジタルでオーバーライトしつつあるということです。

 DX/デジタルの扉を開くのが難しければ、「上手の真似」をしたらどうでしょう。それともう一つ大切なのは、DX/デジタルのフロントランナーの邪魔をしないこと。社内外を問わず、ネット経由でデータのやりとりが支障なく円滑・自然にできること。その準備はできていますか?