貴方が知らないカエデ

 


 皆さんがご存知のように、紅葉狩りといえば秋の行事である。
 モミジのメカニズムとは、普段は緑に見える葉が、秋になると、葉に蓄積したブドウ糖や蔗糖などの糖類から光合成を利用して新たな色素が作られたりする。その過程で葉の色が赤や黄色に変化し、モミジが起こる。その上、もっとも目を引くのは赤色に変色するカエデの葉であろう。

 しかし、春に赤くなって目立つカエデも存在する。
 下の写真は2014年4月27日揚州の何園で撮った写真。
 何園というのは揚州にある「何家の庭園」のこと。「晩清第一園」といわれ、最後の古典庭園として位置づけられている。何氏のフランス滞在経験から中洋折衷の庭園が造られた。そこにはカエデが何ヶ所に分けて植えてあり、春の緑の中に、まさしく「鶴立鶏群」の感じだった。ちなみに「「鶴立鶏群」は中国のことわざで、「鶏群の一鶴」と同じく、まるで野生の鶴が鶏の群れの中にいるようだ。ひときわ高く抜きん出ていることに喩えられる。
 このカエデのメカニズムは、葉の細胞液が最初から赤色であるので、一年じゅう楽しめる品種であり、中国では「四季紅楓」と呼ばれる。

 次に、秋にこそ赤く変色するカエデでも、春に芽生えた新しい葉や枝が赤色である。
 そして、どちらのカエデでも、4月から5月にかけて花が咲く。風媒花で、花弁はその葉と性格が違って、目立たなく小さい。