哀れな中国式親心

 中国では、2ヶ月間の夏休みが終わり、9月1日前後から学校は新しい学年が始る。ちょうど今各大学が相次いで新しい学生を迎えてきた。今年6月に大学試験で合格した学生だ。荷物運び等一人では無理なので、親と共に登校するのは納得できる。11年前、うちの父も大学まで荷物を運んでくれた。しかし、子供を大学まで送っていってもなかなか帰らない親がどんどん増えてきた。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">離乳できないのは親か子供か</span>
 今年も大学一年生とその親についてまた新たな興味深いニュースが流れてきた。ある大学一年生が入学する日、母親が寮の管理員に子供の寝室に空調をつけたいと言った。「寮の電気回路はとても空調の電流を耐えられない」という返事に対し、その母親は「寮全体の回路を改造しましょう。お金ならうちが持ちます」と答えた。もう一人の母親は何日間をかけ、学校の食堂であらゆる料理を試食していた。理由について問われた時には、「栄養バランスのためにチェックをしなきゃ」と。
「可怜天下父母心」という言葉がある。哀れな親心という意味である。子供のためなら何でもしてくれるという子供を思いやる気持ちは大変有難く思っている。それは世界じゅう同じだと思われる。しかし、伝統から見ると、中国の親は子供を思いやるが、子供を必要以上に管理するような気がする。
上のニュースに出てきた親たちだが、心配性だと思う。筆者も高校から寮生活だが、空調どころか、扇風機も使ったことがない。家でも扇風機を使っていたが、学校でルームメートと一緒に住んでいれば使わなくても全然平気だった。料理もそうだが、学校の食堂はその地方の料理をすべて揃えているので、毎日家と同じ料理食べなかったら栄養不足になる訳がない。今は子供の料理を試食するが、今後仕事もやってあげるか。それに、恋人も付き合ってあげるか。結婚もしてあげるか。それとも、子供も生んであげるか。
筆者の親友で大学の同級生の陸氏だが、大学入学際に両親が一緒に来て、そのうえ一週間くらい学校近くのホテルで滞在していたが、親が帰ったら陸氏は私たちと同じく自分で生活できるようになった。例えば、学校では洗濯は全部手で洗うしかない。最初は洗剤の使う量も知らなかったが、一回洗ったらその後は上手にできた。

<span class="deco" style="font-weight:bold;">授人魚不如授人漁</span>
 中国では「授人魚不如授人漁」(人に魚をあげるより魚を取る技術を教える方がよい)という諺があるが、親たちはほとんどそれが知らない。それどころか、子供の生活に平気に手を出す。その事例が多かった。歴史上一番有名なのは宋の時代の有名詩人陸遊である。陸遊と彼の妻唐婉はお互いに愛し合ったが、彼の母親が唐氏のことを嫉妬し、無理やり2人を離婚させた。そのため、陸遊と唐氏が哀れな生活を過ごしていた。特に唐氏が優れた女詩人なのに、若く他界した。
 昨日のテレビ番組だが、姑が無理やり息子夫婦と一緒に生活をしている。別々に生活できないかと聞かれた時に、その姑は夫が健在なのに、「もし私が夜病気になったら、誰が助けてくれるか」と堂々と答えた。
最近そのケースが増えてき、「離乳できない若者」という言葉が流行語になったが、離乳できない若者を育てたのは「離乳できない親」だと私が思っている。