テレワークは進むが電子政府は一歩後退ーー新型コロナが浮き彫りにする日本のIT事情(3)

イベント自粛でウェビナーが流行。だが別の課題も

テレワーク/在宅勤務と並行して、ウェビナー(Webinar)が活発に取り組まれている。Webを使ったオンライン型セミナーを意味する造語で、学習塾や受験予備校が以前より展開していたオンライン学習/講座と同様の形態だ。大勢の受講者が閉鎖空間に集合することがないうえ、遠隔地からも参加でき、移動のための時間や交通費を節減できる。

ただし「臨場感に欠ける」「画面が見にくい」といった難点もあって、一概にウェビナーがすぐれているとは言えない。また、たまにセミナーの講師を依頼される立場からすると困った問題がある。

1つは講演資料や講演内容に利用制限をかけることができるか、という問題だ。筆者の場合、資料については原則フリーだが、講演で話した映像がコピーや転載されるのはちょっと困ってしまう。なぜかというと、筆者の講演の内容は常に「今現在」のもので、半年後、1年後に状況が変わっていることが多々あるからだ。過去の確定した事実ならともかく、「今後の予想」がいつまでも残存するのは嘘をついたことになりかねない。

この点は、セミナーを企画した主催者やセミナーの協賛企業にとっても重要だ。参加費無料としても、「ここでしか聞けない」からこそ価値がある。そういうセミナーに時間を捻出して足を運ぶ“意思・意欲のある受講者”に重きを置いてプロモーションを行えるからだ。Webで公開となると、この辺りの差別化のタガが外れてしまう。

もう1つ、これは、筆者のような職業に就く者の卑近な問題かもしれないが、筆者はいわゆる、「顔出し」に抵抗感がないでもない。ウェビナーのような、実際に顔の見えない受講者に向かってとなるとなおさらだ。

「アップに耐えられるメイクをしなくては」「受講者限定とはいえ、今の体型をあんまり晒したくないなあ」などというのはご愛嬌として、「地下鉄のホームでは後ろに気をつけて」と言われるような記者やジャーナリストにとっては深刻な問題だ。「お面をかぶって登壇しよう」「きわどい話になったら、自前の「ピー」ボタンを押すか」という笑えないジョークが聞こえてくる。

続きは➡️ http://itkisyakaiessay.hatenablog.jp/entry/2020/04/12/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AF%E9%80%B2%E3%82%80%E3%81%8C%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AF%E4%B8%80%E6%AD%A9%E5%BE%8C%E9%80%80%E2%94%80%E6%96%B0%E5%9E%8B_2