IIJがクラウド型管理ツールを無償にする理由 「ねらいはIoTの裾野拡大」と言うが

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年が明けて発表者と再会したのも何かの縁

1か月も経って「遅れ馳せながら」の記事を書くのは、年が明けた1月18日、同社MVNO事業部のプレス向け新年会に顔を出した。その会場で、12月14日の勉強会でレクチャーをした猪俣亮氏(ネットワーク本部IoT基盤開発部センサーネットワーク課エンジニア)と再開したのがきっかけと言っていい。これも何かの縁というものだ。

筆者:その後、マシニストはどうですか。

マシニスト(Machinist):クラウド型SACM (Service Adaptor Control Manager)をベースに、そのアプリケーションとして機能する大量データ集中管理・可視化ツール)。

eng-blog.iij.ad.jp

猪俣氏:社内営業でIoT事業に採用されました。

筆者:サービス開始は今年の春ごろということだったけれど。

猪俣氏:それが、まだなんですよ。

筆者:済みませんね、タイミングを逃したせいで記事にしてない。

猪俣氏:いえいえ。日経系のメディアが取り上げてくれましたし、参加したエンジニアの方がブログでも書いてくれました。

筆者:ねらいはエンジニアのコミュニティ作りでしょ?

猪俣氏:そうなればいいな、とは思っていますけれど、現時点ではIoTの裾野を広げることがねらいです。とにかく使ってもらって、評価していただいて、利用事例がたくさん出てきてくれれば。

筆者:無償で公開した意味はそこですよね。結果として、それがコミュニティや人材の発掘につながっていく。

猪俣氏:そういうのは私のレベルではなんとも(笑)

筆者:そうね(笑)。ところで、1か月も経ってるのに書いたらおかしいかな。

猪俣氏:正式なリリースを出す前なら、まだ間に合いますんでよろしく。

というような会話があった。

筆者の見立て(先読み)はこんな感じ

実を言うと、筆者の見立ては次のようだ。

IIJの1エンジニアが業務終了後や休日に作ったシステムがビジネスに適用される。

●システムを紹介するとともに、ITエンジニアに「自由な発想」が認められる会社ということをアピールする。

●フリーのITエンジニアだけでなく、他企業に所属するITエンジニアが「副業」でIIJのシステム強化、サービスメニュー作りに参加したい、と思ってくれるかもしれない。ウォーターフォール型のシステム開発に従事しているITエンジニアの少なからずが、軸足は現状のまま、新しい経験をネット系ITビジネスで得ようと望んでいるのではないか。

●2019年、受託系ITサービス企業は「働き方改革」の名の下で、エンジニアの離職を避けるために、条件付きながら「副業OK」に踏切らざるを得ない(だろう)。

●そのとき、ネットでフリーに利用できるクラウド型データ収集・分析ツールがあれば、時間と場所を問わず、IIJのビジネスに参加できる入り口になり得る。

●また外部のITエンジニアが開発したアプリをライブラリとして登録してもらうのもいい方策ではないか。

そうか、そういういうことなのだ。

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受託系ITサービス業界がつまらなくなってきた

インターネットイニシアティブIIJ)のエンジニア向け勉強会「IIJテクニカル・ナイト」に参加したのは昨年(2018年)の12月14日、年は違えど忠臣蔵の日だった。浪士たちほどではないにしても、いささか勝手知らずのエリアに足を踏み入れる緊張感があった。

筆者が軸足を置いてきた旧来型(受託系)ITサービス業が、年を追ってつまらなくなっている。企業数が2万とも3万とも言われる深化した多重下請け構造のなかで、とんがった企業がなかなか登場しない(アジャイル系ソフト開発会社を除くと、登場していても目につかない)。

 業界団体(例えば大手・中堅SIerが集まっている情報サービス産業協会:JISA)が、昨年話題になったサマータイム(結果として延期=事実上の中止となったが)、今年実施される改元、消費税率改定に伴うシステム改造に何かコメントを出すでもない。経産省「2025年の崖」をどう見ているのかも不明。生体反応ナシの状態が続く中、口を開けば「情けない」「不甲斐ない」「もうダメ」「役割は終わった」「本当にジイさん協会だな」(記者会見で「ジイさん協会」発言をしたのは筆者ということになっている)では、この季節、唇がますます寒い。

そこでIIJ広報の方に「ちょっと場違いな乱入者ですが」と断ったうえ、エンジニア向けの勉強会に参加する許可を得た。どうにかして刺激を求めないと、レーダーが曇り、アンテナが錆びついてしまう。

エンジニア同士のオープンな雰囲気がいい

勉強会のテーマは メトリクス管理プラットフォーム「Machinist」。センサーで収集されるビッグデータをhttpで送信すると自動的にグラフ化するシステムだ。属性情報やタグでデータを絞り込み、設定した条件で様々なチャートを生成したり、ユーザーが自分流のダッシュボードを作ることができる。

一定の閾値を設定しておけば、異常値を検出して自動的にアラームを発生させたり、時系列のデータ遷移を観察する、といった使い方が可能だ。2018年11月末、ネット上で公開したのでそのお披露目というのが主旨。  

実用例としてデモが行われたのは、IIJの東京、大阪、名古屋の事業所各フロアの室温管理データを示す複数のチャートのほか、IIJ社内のトイレの空き状況を管理する、自作で乗用車の燃費を測るといったアプリだった。

Machinistの特徴や利用メリットは以下のようだ。

(1)ネットで利用できる類似のサービスがない。

(2)法人向けのシステムは何十万円もするので、個人が手軽に使えるツールがない。その点、Machinistは無償で利用できる。

(3)Machinistはあらかじめどのような分析を実施するのか決めなくても、データを送信するだけで分析のプロトタイピングができる。

アジャイル開発とセンサーの高機能化が急速に広がっているなかで、ビッグデータの収集・分析システムが旧来のウォーターフォール型で構築されていたのでは、変化に対応できるわけない。トライ&エラーで適切なメトリクスを探り当て、柔軟(臨機応変)に閾値を変更したりシミュレーションを実行できるようにする。

ところがIIJのビジネスターゲットである法人市場に限定すると、新しい発想が出てこない。そこでエンジニア個人がオンライン・サインアップで簡単にスタートできるようにすると、新しいアプリ、新しいビジネスが見えてくるかもしれない。

「みなさんにどんどん参加してほしい」

というのは、そのようなエンジニア・コミュニティを形成していく意思表示、と筆者は理解した。レクチャー後に行われた簡単な立食パーティ(ピザとビール)は、いかにもエンジニア同士のオープンな雰囲気だった。 

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